たびたび発生するパンデミック
新型コロナとインフルエンザの違い
新型コロナと毎年流行するインフルエンザはウイルスが原因となって発症するなど類似点が多いようですが、異なる点に注意が必要だそうです。
<注意点>
- 潜伏機関が長い(2~14日:インフルエンザは2~4日)
- 無症状の時期にウイルスを排出(初期にのど・はなで増殖し感染力が高い)
- 治るまで時間がかかる
- 肺炎になりやすい
インフルエンザ
「スペインイン風邪」が発生してから100年目の年の2018年に、いわゆる新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)が発生しました。スペイン風邪は、我々が知りうるパンデミックとしては過去最大で、地球規模で膨大な患者と犠牲者が発生。規模の大小はあるがこれは特別なものではなく、インフルエンザのパンデミックは、過去に幾度も発生し、残念ながらこれからも発生するようです。
新型コロナとインフルエンザは厳密には異なる感染症ですが、我々が実施る対策の方向性は全く同じといっても過言ではないと思います。過去のパンデミックを振り返り、歴史から学ぶことは数多くあると思います。
新型インフルエンザとパンデミック
20世紀では、大きなパンデミックだけで4回発生、
①1918年の「スペイン風邪(A/H1N1)」
②1957年の「アジア風邪(A/H2N2)」
③1968年の「香港インフルエンザ(A/H3N2)」
④1977年の「ソ連インフルエンザ(A/H1N1)」。
「ソ連インフルエンザ」は、スペインインフルエンザの子孫ウイルスが復活してきたもののようです。21世紀には 2009年にパンデミック(A(H1N1)pdm09ウイルスによる)が発生しています。
これまでも、これからも、人類はパンデミッに遭遇するという運命からは逃れようがないようです。今回はその中から最大の被害を出したスペイン風邪に焦点をあて学んでいきたいと思います。
スペイン風邪の状況
スペイン風邪概要
スペイン風邪は、1918年3月頃から1920年頃まで全世界で流行。
当時の世界人口18億~20億人の1/3以上が感染
数千万人(約2~5千万人)が死亡
致死率は2.5%以上
※統計は諸説あり
定量的な記録のあるインフルエンザパンデミックの中では史上最大です。
過去の資料写真を見ると、現在の新型コロナと同様に、患者を収容しきれず広い公共施設で診療する様子や、みんなマスクをしている様子が確認できます。
日本のスペイン風邪
日本でも1918年(大正7年)8月下旬から流行が始まり、11月には全国的な大流行となったそうです。
本格的にスペイン風邪が日本を襲ったのは、第1回流行としては9月末から10月初頭だそうです。学校や軍隊を中心に1カ月ほどのうちに全国に拡散。10月末になると、各種ソーシャルワーカーを巻き込み、経済活動や公共サービス、医療に支障が出たそうです。死者の増加に伴う火葬場の混雑も記録されています。現在のほうが医療体制や感染症の研究も進んでいますが、このあたりの状況は新型コロナの初期の状況と非常に類似しています。
第1回流行も12月頃には嵐の勢いが低下。総人口5,719万人に対し、総患者数は2,116万8千人、なんと国民の約37%がこの期間にインフルエンザにかかったことになるそうです。このうち、死亡者数は25万7千人とされ、単純に計算すると致死率は1.2%になります。
第2回流行(1919年9月~1920年7月)では総患者数241万2千人、死亡者数12万8千人(致死率5.3%)
第3回流行(1920年8月~1921年7月)では総患者数22万4千人、死亡者数3,698人(致死率1.6%)
と記録されている。
変異の影響でしょうか、第2回のほうが患者数は圧倒的に少ないのに致死率が上がっています。第3回流行の時点では患者数も死者数も激減しています。徐々に季節性インフルエンザに移行していったようです。きっと多くの人が免疫を獲得し、死亡率も低下したのでしょう。
当時の感染対策
様々な感染対策が行われたことが記録されている。
米国の一部の行政当局は、市民に対し人前で咳やクシャミを控え、マスクを着用することを推奨、学校、教会、劇場その他の大衆娯楽施設の閉鎖命令を出したところもある。積極的な対策を導入したセントルイス市では感染拡大防止に成功したが、消極的なフィラデルフィアでは感染が拡大したそうです。どの程度規制するかは難しい所ですが、これも現在と照らし合わせても納得がいくような話です。
日本でも、「病人・咳をする者には近寄らない」、「沢山人の集まっている所(芝居、活動写真、電車など)に立ち入らない」、「咳やクシャミをする時はハンケチ、手ぬぐいなどで鼻、口を覆う」ことが重要であると通達されたそうです。また、かかった場合は「すぐに休む」「病人の部屋はなるべく別にし、病室に入る時はマスクを付ける」ことが勧められたそうで、現代の対策と同じことが100年前に推奨されています。
スペイン風邪のその後
スペイン風邪はどうなったか?
1918年から世界中で始まったパンデミックは、多くの感染し、猛威をふるった後、1920年の春までには収束したそうです。多くの人が感染し、免疫を得たことが影響したと考えられるとこのと。
1920年代に免疫を持ったヒトに対する感染を終えたそうですが、ブタの中に生き残り進化を続け、2009年にパンデミックを起こしたH1N1型との関係が示唆されてそうです。ウイルスの子孫が100年経っても生き残っているなんて驚きです。
新型コロナの収束を願って
人類は今後も、新型コロナのようにパンデミックにさらされることは避けようがないようです。これまでの歴史から学び、被害を最小限に抑える努力が必要です(被害の定義が価値観によって異なるのが厄介ですが)。
スペイン風邪のころは、まだ抗生物質もなく、医薬的な技術はウイルスに対して今より未熟だった時代であり、比較は難しいですが、今回のパンデミックも同じような経過をたどるのではないでしょうか?
みんなでリアルなコミュニケーションが安心して取れるような時期が早く訪れることを願ってやまないです。
なんだかその時期は、かなり近づいているのではないかと感じました。
2022年は明るい年になるように願います。
参考資料
スペインインフルエンザ
1918年の「スペイン風邪」はどう「収束」したのか:新型コロナの波と比較する
新型コロナウイルスとインフルエンザの違い